外構業者の種類と得意・不得意

 

外構工事を請負う業者に何社か相見積もりをとって比較することは、賢い選択のために有効な手段です。ただし、見積もり金額だけにとらわれてしまうと、金額に現れにくい部分で振り回されてしまう可能性があり、定性的な判断も必要です。

定性判断のひとつのポイントとして、その業者の業態に応じた得意・不得意を押さえておくとが有効です。

外構工事を請負う業者は以下の種類に類別でき、以下のような特性があります。

A.住宅メーカー

住宅メーカーは一般に、営業機能を担いお客様フロントとして受注した案件を、設計と施工を造園業者やいわゆる外構屋さんに下請けに出し、15 – 30%のマージンを付加しています。ある住宅メーカーでは下請で70万円のものが100万円になる、という具合です。価格的には明らかに割高です。しかし、保険料だと思って納得しているお客様がいることも確かです。ただし、お客様⇔住宅メーカー⇔下請業者という広範な分業体制で仕事をすすめる性質上、どうしても”伝言ゲーム”的な状況が生じることになるので、設計中でも工事中でも、お客様のご希望や下請業者の提案が相互に伝わり難く、トラブルが発生しやすいという弱点があるかもしれません。
 

B.外構業者

小規模の外構屋さんは、設計デザイン業者、ブロック屋、左官屋、タイル屋といった専門工事業者が外構工事(土木工事)を請負っている場合に言われる呼び名です。旧来は住宅メーカーの下請けが主流でしたが、最近は独立系として直接お客様を開拓し、住宅メーカーよりもきめの細かいサービスや独自性の高い提案力、価格力を武器に展開し、中には展示場を持つまでに成功している企業もあります。
ある程度の規模で会社組織を持っている業者から、「一人親方」という個人事業主同士の横連携で仕事を進める業者など、さまざまな形態があります。いずれの場合も施工の知識・技術は当然に有していますが、設計の知識・技術も有するか、とくに構造や法的規制の知識があるか否かは重要なポイントです。(外構工事は、CB構造や地区協定などで建築基準法上、市町村の条例の制約が加わるなど、建物同様、常に安全と法規制を意識する必要があります。)
また小規模な業態では、大手メーカーと異なりビジネス的に洗練されていない面も多く、見積や契約がいわゆる”どんぶり勘定”的な場合もあり、何かトラブルがあった場合には、追加の請求などでゴタゴタしやすいという弱点があるかもしれません。
 

C.造園業者(「○○園」「○○造園」といった屋号の業者さん)

造園業者は、植栽についての知識は群を抜いていますので、裏庭の樹木の剪定や調子の悪い樹木についての相談などについて良い提案が期待できると思います。また、最近では植栽の仕事だけでなく、外構全般のプランニングを行うところも出てきています。しかし、伝統的な仕事スタイルで業を営む傾向があるため、お客様のニーズを捉えたユニークな提案など、付加価値の高いサービスという点ではやや弱いかもしれません。造園工事とは植栽工事のことだと思っている人がいるくらい社会的な認知度も低く、この点は今後の業界発展に向けて造園業者の覚醒と営業努力が求められるところです。


D.その他

ホームセンター、大型園芸店などのなかにも、外構・造園工事を請負っているところがありますが、おおむね住宅メーカーと同じような仕事の仕方のようです。